こどもの矯正歯科治療には、「1期治療」と「2期治療」があります。
「1期治療」は永久歯がきれいに生えるようにあごの成長をコントロールしたり、上下のあごの成長のバランスをコントロールし、受け口や出っ歯の根本的な原因にアプローチする治療を行います。また、口呼吸や指しゃぶりや舌の悪い癖を早い時期に改善します。女性の場合は小学生、男性の場合は小中学生で行う治療です。お子さんによっては1期治療で終了することもあります。
「2期治療」は永久歯が生えそろった後に行い、歯にブラケットとワイヤーをつける治療で、女性の場合は中学生以降、男性の場合は高校生以降に行います。基本的に大人の矯正治療と同じです。
1期治療は、乳歯が永久歯に生え変わり始める6歳頃から、永久歯が生えそろう12〜15歳頃までの間に行います。この時期に「出っ歯」 「受け口」「でこぼこ」「永久歯が生える場所が足りなさそう」などといった場合は、一度ご相談ください。
主に正常な顎の発達を促すための治療を行っていきます。この時期にしかできない成長を利用した非常に重要な治療です。また、お子さんの歯並びや顎の発達の問題が、本人の舌やお口まわりのクセによって起こっている場合は、クセを取り除くための治療(MFT)を行います。
矯正歯科治療は、患者さんの理解と協力がとても重要です。それはどんなに小さいお子さんであっても同じだと考えています。そのため本人の意志を尊重し、治療への不安を取り除き、そしてやる気を引き出せるように、お話をする時間をしっかりとるようにしています。
性格や性別、成長発達段階によって、同じ時期に同じ装置を使っても慣れるまで個人差があります。お子さんをよく観察し、楽しく治療が進められるように配慮しています。
基本的に取り外しのできる装置を、寝るときに使用する治療方針を選択しています。そしてお子さんにとって負担の少ない治療になるように配慮しています。
成長期のこどもの場合、お子さんがもともと持っている成長力を引き出すことで、受け口や出っ歯の根本的原因である骨格性の問題にアプローチすることができます。一方、成長のない大人ではこのような顎の骨の成長が期待できないため、骨格性の問題があっても永久歯を抜歯することでカモフラージュして治療せざるをえません。そのため、子供のころから治療をした場合のほうが、より良好で長期安定した治療結果を得やすい傾向にあります。
1期治療では、基本的に取り外しのできる装置を寝るときに使用します。そのため学校生活や、部活動、習い事への影響は最小限に抑えることができます。
お子さんにとっては抜歯が一番怖いことだと思います。こどもの治療(1期治療)では将来的にでこぼこにならないように、これから生えている永久歯のためにあらかじめ場所を作っておくことが可能です。そのため、症状にもよりますが将来的に永久歯の抜歯を回避できる可能性もあります。
※永久歯が生えてくるのに支障がある場合は乳歯の抜歯を適宜行います。
小さいお子さんであっても、女の子であっても男の子であっても見た目はとても大切だと思います。本人がコンプレックスに感じる前に治療で改善してあげるのは大きなメリットです。
特に歯のでこぼこを治すことで、歯磨きがしやすくなり虫歯や歯肉炎になりにくくなります。
指しゃぶり、唇をかむクセ、飲み込むときのクセなどは、歯並びやかみ合わせに大きな影響を及ぼします。そのため、唇や舌のクセによって歯並び・かみ合わせが悪くなることがあり、そしてクセが残っているとどんなに治療を頑張っても後戻りの原因にもなります。大人になってからクセを治すのはとても大変ですので、お子さんのうちから早めに対処することが大切です。
矯正歯科治療の有無にかかわらず、歯磨きをしないとむし歯になります。特に矯正装置を装着していると、歯磨きが難しくなりむし歯のリスクが高くなります。治療開始時に歯磨き指導を行いますが、治療中に歯磨きができていない場合は治療を中断する場合もあります。
矯正装置を装着すると痛みが生じることがあります。痛みが出るほど大きな力をかけることはありませんが、どうしても食事がとれないなど生活に支障がある場合は、鎮痛剤で対応することもあります。
個人差はありますが、2〜3日から1週間程度で慣れてくることが多いです。慣れるまでは話しづらい、つばを飲み込みにくいという症状が出やすいです。
矯正装置は壊れやすいものです。落としたり踏んだりすると、変形したり壊れたりしますので大切に取り扱う必要があります。また大切に使っていても、歯の生えかわりなどで装置が合わなくなったり、痛くなったりすることがあります。早めの対応が必要な場合もありますので、ご心配なことがあるときはご連絡ください。
永久歯の生えかわりに支障が生じる可能性があると判断した場合には、乳歯の抜歯をすることがあります。
予測を超える顎の発育が生じた場合、当初の治療方針を変更する場合があります。また、これにより永久歯の抜歯や顎の手術が必要になる場合もあります。
こどもの治療では取り外しのできる装置を使うことが多いため、指示した使用方法を守ることができないと、予定通りの治療をすることができません。本人だけではなく、保護者のご協力もとても大切です。